ゴルフは続くよどこまでも#4「トゥランドラー」
トゥランドラー
ニュージーランドのゴルフの最大の特徴は、ほとんどのプレーヤーが歩いてプレーすることだろう。
キャディさんが付くゴルフ場は非常に稀で、昼食休憩を挟まない、スループレーが基本だ。
プレーヤーは、スタンドバッグを自分で担ぐか、手押しカートにバッグを乗せて歩く。
ゴルフショップにはTrundler(トゥランドラー:いつも発音に困る)という手押しカートが売っていて、ゴルフを頻繁にする人だったら、だいたいマイTrundlerを持っている。
お年寄りもみんな、自分のゴルフバッグを転がしながら、逞しく歩いている。
私が今のゴルフクラブに入会してすぐに、ストロークプレー選手権の案内があった。
競技ゴルフの経験のある私は、すぐに参加することにしたが、36ホールの試合を1日で行うと聞いて腰を抜かしそうになった。
プロでもないのに、歩いて2ラウンドもするの? そんなのとても持たない! と、例のTrundlerを買いに走った。
Trundlerは手動で押すタイプ、充電式バッテリー付きの電動タイプ、更にはリモコンで操作できるハンズフリータイプがあった。
松・竹・梅ときたら、竹を買ってしまうのが人間の性(さが)である。
もう部活じゃあるまいし、齢30を過ぎたら体を労っていかないとね、という甘えもあった。
ところが、いざ競技に参加してみると、電動カートを使っている人は少数派だった。
ニュージーランドの人々は非常に倹約家なのである。そして食べ物のせいか環境のせいか、みんな体が頑丈なのだ。
平日のゴルフを楽しむレディーたちは、ざっと平均年齢62、3歳である。
彼女たちに混ざってプレーする私は、ダントツに若かった。
一番若いのに、電動カートを押している自分が少し恥ずかしく、情けなかった。
ちょっとでも「疲れたなぁ」とつぶやくと、「あんたはまだまだ若いでしょ!」と全方向から突っ込まれ、笑われる。
彼女たちを見ていると、私が60歳、70歳になった暁には、歩いてエージシュートができそうだと思う。
※エージシュート:自分の年齢と同じかそれ以下のスコアで回ること
[プロフィール]
ヒッティ
1987年生まれ。ニュージーランド在住。幼少期からゴルフを始め、一時はプロを目指すも、今なおアマチュアとしてゴルフを愛し続けている。現在のハンデはゼロ以下。日本とニュージーランドで女子ミッドアマ チャンピオンのタイトルを獲るなど、珍道中を邁進中。