ゴルフは続くよどこまでも #1「あるがまま」
「Play the ball as it lies = 球はあるがままにプレーせよ」
2018年以前からゴルフをしている人だったら、目にしたことのある文字ではないだろうか。
2019年改訂前のルールブックに記載されていた、「ノータッチでプレーして ね」、つまり「ボールを動かさず、そのままのライで打ってね」という意味の言葉だ。
身内でプレーするエンジョイゴルファーには聞き慣れない言葉かもしれないが、競技ゴルフでは、ティーショットを打つ前とグリーン上以外では、ボールに触らないのが基本だ。
それにしても、翻訳の妙というか。「球はあるがままにプレーせよ」って、深いなぁ と思う。
「あるがままの状態でプレー」というのは、「自分の実力をわきまえて、背伸びするんじゃないよ」、と諭されているように聞こえやしまいか。
例えば、実力以上の飛距離を出そうと体に力を入れると、OBに向かって大スライスしたり。
林の中に打ち込み、よせばいいのに木々の隙間に見えるピンを狙ってさらに木に当てたり。
向かい風に逆らおうと慣れない打ち方をして大ダフリをしてみたり。
欲張らず、あるがままに、自分の実力でできることに集中し、自然の状態に争わず、寄り添う。
それができたら、スコアは ぐっと良くなると思う。
この「あるがままに」の一文に、最強のメンタルマネジメントが集約されているように私は感じる。
また、違う解釈もできる。
「ゴルフコースの敷居を跨いだら、肩の力を抜いて、ありのままのあなたらしく遊びなさい」、というメッセージだ。
妄想が飛躍しすぎだろうか。
でも、ゴルフで特別な非日常を楽しむ、という人もいるけど、素(す)の自分で楽しむための服装は、ゴルフ場でもとても大事だ。
ルールブックの改訂後にはこの文言は消え、今は幻の金言となってしまった。
それでも、全てのゴルファーは、あるがままの自分らしい心とファッションでプレーするべきだと、私は思う。
[プロフィール]
ヒッティ
1987年生まれ。ニュージーランド在住。幼少期からゴルフを始め、一時はプロを目指すも、今なおアマチュアとしてゴルフを愛し続けている。現在のハンデはゼロ以下。日本とニュージーランドで女子ミッドアマ チャンピオンのタイトルを獲るなど、珍道中を邁進中。