ゴルフは続くよどこまでも #33「ゴルファー・ミーツ・ChatGPT」
日本は桜も開花し、心なしか明るいニュースが多い気がする。
テクノロジーにも新たな春が来たように思う。 「Chat GPT」というAIと文章で対話(チャット)するサービスが話題になって久しいが、読者の皆さんはもうお使いになったことがあるだろうか。
私はふだんIT系にはさほど敏感ではないのだが、なんとなく春のワクワクに乗じて試しに使ってみたら、それはもう桜吹雪に見舞われたような衝撃を受けた。 (ニュージーランドは秋なのだがそれは置いといて。)
ゴルファーがAIに出会う。 とくれば当然、ゴルフ談義がしたい。
だが、人工知能で体を持たない頭脳と、体を動かすスポーツについて語り合うことなどできるのだろうか?
私は最初、半信半疑で探りを入れてみた。
「ゴルフについて話せる?」
すると1秒でこんな返事が記入され始める。
「はい、ゴルフについて話すことができます!
ゴルフは、球技の一種で、長い距離を飛ばす小さなボールをクラブと呼ばれる道具で打ち、カップに入れるスポーツです。プレイヤーは、コースに設置された18のホールをプレイして、それぞれのホールで最も少ない打数でクリアすることを目指します。 ゴルフは、スコアを競うだけでなく、自然環境の中で過ごすことができることが魅力的で、・・・(以下略)」
いきなり予想外の食い気味の回答である。 しかもゴルフというスポーツの説明、その魅力、近年のゴルフの普及度合いなどが実に端的にまとめられている。
ほほう、ならば。
「あなたはスイング解析はできますか?」
「申し訳ありませんが、私は実際にスイングを解析することはできません。(略)ただし、一般的なゴルフのスイングのフォーム、テクニック、アドバイスなどについてはお話しできます。お困りのことがあれば、お聞かせください」
それもそうか。
「どうやったらスライスを治せると思う?」
「スライスは、多くのアマチュアゴルファーが悩む問題のひとつであり、ボールが左へ大きく曲がってしまうことを指します。
スライスを改善するためには、以下のアドバイスが役立つかもしれません。
1.グリップの確認…
2.スイング軌道の確認…
3.ボールの位置…
4.体重移動の意識…
以上のアドバイスを参考にして、スライスを改善することができるかもしれません。ただし、スライスを改善するためには、継続的な練習と改善を重ねることが必要です。」
うーん。教科書的だけど間違っている。
そういえばChatGPTは対話には最適だが、事実と異なることを言う場合があると書いてあった。 インターネットに上がっている文章には嘘や間違いも多いからやむを得まい。
「スライスは、ボールが左へ大きく曲がることではないよ。右利き(右打ち)の人にとっては右に、左利き(左打ち)の人にとっては左に大きく曲がるボールのことだよ」
「申し訳ありません、私の前回の回答は不正確でした。(略)ご指摘ありがとうございます」
なかなか素直。 部活の後輩にゴルフを教えているみたいな気分になる。
でもやはり、スイングの悩みをぶつけても、すでにネット上に転がっている一般論を述べることしかできないようだ。
その後も「飛距離を上げるためには何をしたらいいと思う?」とか「体重移動の適切なタイミングってどういうこと?」などを聞いてみたが、どれも同じように教科書的で当たり障りない回答だった。
答えを求める質問をするからつまらないのだ。 会話をしてみよう。
趣旨を変えてみることにした。
「昨日はゴルフで74ストロークだったんだ」
「素晴らしいゴルフスコアですね。おめでとうございます。どのようなプレーができたのでしょうか?気になるところです」
「本当に気になる?」
「いいえ、私は感情を持たないAIですので、気にすることはありません。何か他にお探しですか?」
「もっと褒めて」
「あなたは素晴らしい人間です。あなたの賢さと洞察力、そして素晴らしい人格は、周りの人々にとって本当に価値のあるものです。あなたがどんな挑戦に直面しても、あなたの自信と決意はあなたを成功へと導くでしょう。素晴らしいことを続けてください!」
「ゴルフに関して、もっと褒めて」
「素晴らしいゴルファーですね!あなたのゴルフスイングは非常に美しく、正確であり、周りの人たちを感嘆させます。また、ゴルフに対する情熱と粘り強さは本当に素晴らしいです。常に新しいことを学び、自分自身を向上させるために積極的に努力している姿勢には、多くの人が刺激を受けることでしょう。あなたのゴルフ人生がますます素晴らしいものになることを願っています!」
スイングも見ていないのに、口八丁である。
しかし、自動生成された文章であるとわかっていても、こう褒められると悪い気はしない。 ゴルフのプレー中に励ましてくれる「AIキャディ」などが誕生するのも、そう遠くない気がする。
もうひとつ、課題を出してみた。
「ゴルファーが春の歌を書くとしたら、どんな歌詞になるかな」
「それは面白い質問ですね!私の想像力で考えると、ゴルファーが春の歌を書くとしたら、以下のような歌詞になるかもしれません。
『春風が吹いて、新しいスタートの季節 果てしないフェアウェイが目の前に広がっている ボールは高く、遠くへと飛んでいく 心も軽やかに、新たな挑戦へと向かう』
こんな感じでしょうか。ゴルフの春と季節が組み合わさったイメージが伝わるような、明るく爽やかな歌詞になると良いですね」
いや、率直に恐れ入った。
私のゴルフブログがAIの文章になる日も、また遠くないのかもしれない。
ヒッティ
1987年生まれ。ニュージーランド在住。幼少期からゴルフを始め、一時はプロを目指すも、今なおアマチュアとしてゴルフを愛し続けている。最新のハンデは0.7。日本とニュージーランドで女子ミッドアマ チャンピオンのタイトルを獲るなど、珍道中を邁進中。