ゴルフは続くよどこまでも #11 「冬ゴルフの嬉しいこと」
日本で桜が咲きはじめた頃。
ニュージーランドは夏時間が終わって、道ばたにはススキが目につきはじめた。四季が真逆のこちらでは、夏から秋に移ろうとしていた。
5月末の現在は雨が多くなってきて、朝晩にはストーブが欲しい。冬が近づいているのだ。
キンと冷えた空気。どんよりした雲に、しとしと降る雨。
「冬は嫌いだ」というニュージーランドの人は多いけれども、嬉しい点もある。雨が多いということは、それだけひんぱんに虹がかかることだ。
「1日の中に四季がある」といわれるNZ特有の変わりやすい天気のもとでは、通り雨や狐の嫁入りが多い。
ゴルフ中、雨に降られて あちゃーと思っても、止んだ時はすぐに空を見上げて虹を探す。
ニュージーランドの空は広い。
ゴルフ場外であったとしても、視界を遮る建物が少ないから、わりと高確率でその姿を見つけることができる。
よく「雨上がりの青空には虹がかかっていた」と小説や歌などに出てくる表現があるが、あれは間違いである。
そういうケースもなくにはないが、ふつう虹は、灰色の雲を背景に現れる。
私はそんなニュージーランドで見る虹が、嘘っぽくなくて好きである。
また、快晴の日の朝は、濃い霧(きり)と霜(しも)が発生することが多い。
「frost delay(フロスト・ディレイ)」といって、9時前までのスタート時間は、ずれ込むか、キャンセルされる可能性がある。霜の降りた状態でゴルフをすると、芝生が傷むからだ。
チェッ と思う反面、ぽっかりと休みができるのも悪くない。
ゴルフ場からフロスト・ディレイのアナウンスがあると、あぁ冬がきたんだなぁと感じ入る。
でも、楽しみにしていたゴルフがなくなって悲しいはずなのに、あたたかいベッドに戻れるのが嬉しい私は、ヘタレゴルファーである。
[プロフィール]
ヒッティ
1987年生まれ。ニュージーランド在住。幼少期からゴルフを始め、一時はプロを目指すも、今なおアマチュアとしてゴルフを愛し続けている。現在のハンデはゼロ以下。日本とニュージーランドで女子ミッドアマ チャンピオンのタイトルを獲るなど、珍道中を邁進中。