ゴルフは続くよどこまでも #13「ゴルフバッグと素敵なお客さま」

先日、20代くらいの可愛らしい女性が来店した。

 

「このゴルフバッグある?」とオンラインショップの画面をスマホで見せてくれたのだが、あいにくお店に在庫がなかったので、ゴルフバッグ選びをお手伝いすることになった。

 

「黒いバッグがいいんだけど…スタンドタイプで、セパレーションがたくさんあるの」

 

ゴルフバッグ(日本ではキャディバッグという)は大まかに、スタンド、カート、スタッフと3種類ある。

スタンドバッグというのは軽量で足がついていて、両肩に担いで持ち運びがしやすい。

カートバッグはもう少し重量があって、文字通りカートに乗せるのを前提に頑丈に設計されている。

スタッフバッグというのは、プロゴルファーがプロキャディに担いでもらう、ポケットが多く企業のロゴなど入れやすい大きなバッグのこと。とても重い。

 

さて、話を女性のお買い物に戻そう。

 

あらかじめ欲しい機能や性能がわかっていると、買い物が早い。

いくつか提案したら、その中からすぐに決められるだろうと思っていたのだが、話してみるとなかなか決めかねている。

 

選択肢を狭めてあげようと思い、「ふだんはトゥランドラー(手押しカート)に乗せてプレーしますか?」とか「ウォータープルーフ(防水)がいいですか?」とか質問をしてみたのだが、女性はますます困った顔をするばかり。

 

「実は…私はゴルフをしないからよくわからないの。彼氏への誕生日プレゼントで」と言う。

 

ははーん。 なんてかわいいお客さまだろう。

きっと彼氏が新しいゴルフバッグを探しているのを見て、彼の目星のものを誕生日プレゼントにしようと、未知の領域なのにこっそりゴルフショップを訪ねてきたのだ。

 

私がよかれと思い、蛇足的な情報を与え、いくつかの商品を提案したのが、かえって彼女を混乱させてしまった。なんだか申し訳ない気持ちになった。

 

結局、彼女はゴルフバッグが買える分だけのギフトカードを購入して帰っていった。

 

ほっこりして一件落着と思っていたら、翌週その彼女が、彼氏さんと2人連れ立ってやってきた。

 

私が「お誕生日おめでとうございます」と言ったら、彼氏のほうは なんで知っているんだと言わんばかりに驚き、彼女の方は ふふふと笑っていた。

 

素敵なお客さまの彼氏は、やっぱり素敵でかわいかった。

 

 

ヒッティ

1987年生まれ。ニュージーランド在住。幼少期からゴルフを始め、一時はプロを目指すも、今なおアマチュアとしてゴルフを愛し続けている。現在のハンデはゼロ以下。日本とニュージーランドで女子ミッドアマ チャンピオンのタイトルを獲るなど、珍道中を邁進中。

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