ゴルフは続くよどこまでも #27「アマチュア競技の公平性」
ホームコースでよく一緒に回るサマーは、ハンディキャップ16ながら、とても安定したゴルフをする。
パーもあり、ダボもあるが、基本はボギーでトリプル以上はほとんど打たない。
だから、ハンディキャップをあげてマッチプレーをすると、だいたい負ける。
ほとんど ”エブリワン” (全てのホールで1打のハンディキャップをあげること)をあげるようなものだから、サマーがボギー、私がパーを取って”ハーフ”(そのホール引き分け)となる。
私がバーディを取りに行かないと勝てない。
そう思って臨むのでこちらの気持ちに余裕がなく、変なミスを招いてますます勝てない。
そんな彼女が先日、バンカー、バンカー、バンカーの連続で、めずらしく大叩きをした。
「あっはっはー! 昨日は85だったのに、今日は95も打ったわー! あっはっはー!」とじつに豪快である。
よくない結果も笑い飛ばすサマーの態度はとても好ましい。
が、その日サマーと私はペアで2対2のチーム戦をやっていたので、あっはっはー! というまに私たちは大負けした。
この前のマッチプレーで炸裂したあのスーパープレーをしてくれよ…! と思わずにはいられなかったが、まぁ、それがゴルフである。
仲のいい内輪で戦ったり、コンペに参加したりする上で、公平なハンディキャップの追求は永遠のテーマだと思う。
もともと多種多様なレベルのゴルファーがひとつのフィールドで戦い、優勝カップをかけて競えるというのは、素晴らしいアイディアだ。
ゴルフならではの醍醐味ともいえる。
ただ、能力や経験などに差があるプレーヤーを同じ土俵に乗せ、それを”考慮する”という時点で、100%公平に扱うのは無理がある。
たとえば平均スコアが75程度である私は、スコアのぶれ幅が小さい。おおよそ「あちゃー」が80、「よかったな」が70。
対して、たとえば平均スコア100程度の人は、パーもあれば10もたたく。「あちゃー」が110、「よかったな」が90だったりする。
だから、勝っても(申し訳ないな)となるし、負けても(ハンディがいっぱいあるからな)、と思ってしまう。さらには(ごまかしてハンディを多く申請してるんじゃないか)と疑い始めてしまう始末。
相手側にしてみても、(あんなに飛ばしてずるい)とか(若くて健康だから私より上手いのは当然)とか、思ったりしているかもしれない。
互いの健闘を素直にたたえられないのである。
このように、実力差がありすぎると、制度的につくられた公平には限度がある。
だからアマチュアのゴルフは、スポーツというよりゲームと割り切った方がいい。
ハンディキャップなしのグロススコアで勝負する”ガチンコ”なスクラッチ戦か、プロの試合以外、スコアにこだわりすぎるとゴルフ自体が楽しくなくなってしまう。
サマーに負けた私は、ただ制度にブツブツ文句を言ったままフテ腐れるのもしゃくなので、ニュージーランド女子アマチュア選手権に出場することにした。
やはりゴルファーたるもの、高みを目指し続けなければクラブを握る資格なし! というかゴルフ業界でおまんま食べさせていただいている身として、誠心誠意ゴルフという競技に向き合わなければ失礼というもの!
そんなふうに自分を奮い立たせ、来月はビリでも格好悪くても、真剣勝負の世界に身を浸してこようと思う。
ヒッティ
1987年生まれ。ニュージーランド在住。幼少期からゴルフを始め、一時はプロを目指すも、今なおアマチュアとしてゴルフを愛し続けている。最近のハンデは1.8。日本とニュージーランドで女子ミッドアマ チャンピオンのタイトルを獲るなど、珍道中を邁進中。