ゴルフは続くよどこまでも#6「羊」

羊の国で働く

 

ニュージーランドは南半球の小さくてのどかな島国だ。

こちらに住んで3年になるが、「羊がたくさんいる」という牧歌的なイメージは移住前から今まで崩れていない。

文化的に、ニュージーランドの人々はおおらかである。

 

ところで、今年に入ってからパートタイムで働くことになった。近所のゴルフショップである。

私にとっては3年ぶりの労働、しかも初めての海外の現地企業での就職に緊張していた。

 

勤務の初日、ゴルフショップの開店30分前に着いた。

お店の鍵を持っているマネージャーが現れたのは、開店10分前。

「わからないことがあったら聞いてね」と言われたものの、研修はゼロでいきなり放牧状態である。

 

手持ち無沙汰で、とりあえず店内の掃除をしてみる。

開店まで間がなかったので、掃除機をかけ終える前にお客さんが入ってきてしまった。

私は慌てて同僚に「お客さんがいる前で掃除機かけないほうがいいかな?」と聞いたが、同僚はキョトンとしていた。

「ここではそんなの誰も気にしないよ!」と笑われた。

 

また、同僚スタッフ達とカスタマーとの会話にちょっと面食らった。

 

“Hi how are you buddy?”(やぁ、調子どう?)

“Hey mate, what do you need today?”(やぁ、今日は何がほしいの?)※意訳

 

と非常にくだけているのである。

自分が販売員としてこんな言葉遣いをしたら馴れ馴れしいのでは・・・

だがこちらの心配をよそに、彼らは実に自然にコミュニケーションをとっていく。

 

どうやらこの国では、ゴルフショップにいる人間は「ゴルファー」という対等な立場で、「お客様>販売員」という明確な構図はないようだ。

 

全てのカスタマーが品行方正でおおらかな人というわけではないが、それと同じに、スタッフ側も常に笑顔で全力の誠実な人間ではない。

ここではみんな自然体で、相手に期待をしないのだ。そして、周りにどう思われるかもさして気にしない。

近所の公園にいる羊を見ていると、ニュージーランドでは羊も人も同じだなぁと思う。

 

[プロフィール]

ヒッティ

1987年生まれ。ニュージーランド在住。幼少期からゴルフを始め、一時はプロを目指すも、今なおアマチュアとしてゴルフを愛し続けている。現在のハンデはゼロ以下。日本とニュージーランドで女子ミッドアマ チャンピオンのタイトルを獲るなど、珍道中を邁進中。

 

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