ゴルフは続くよどこまでも #19「カップにセメント事件」

先日ウェブニュースで見かけた見出しに思わず声を上げてしまった。

 

『ゴルフ場のホールカップに抗議のセメント。フランスで深刻な干ばつ⇒芝生の「給水禁止除外」に環境団体』

(引用元 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_62f9cface4b045e6f6aeafa5 2022815日、ハフポスト)

 

記事によると、フランスでは深刻な干ばつの影響で、水の使用に制限がかけられている。

フランスのおよそ100の村で飲料水が不足しており、政府からも車の洗車や庭の水やりなどしないよう呼びかけがある。

しかしその給水制限は、ゴルフ場は対象外。

これに怒った環境活動家が、夜のゴルフ場に忍び込み、カップにセメントを流し込んだというのだ。

 

ゴルフを愛する者としてものすごく悲しいことだが、環境活動家が怒るのも理解できる。

昨今の異常な気候変動はもちろん、周辺地域の人々が飲み水がないと叫んでいるなかでゴルフをできるほど、私は神経が太くない。

ゴルフ場の芝生を青々と保つためには、18ホールのコースで1日約4~30万リットルの散水を行うらしい。(私調べ)

地域の気候と季節にもよるが、素人でもゴルフ場には膨大な量の水が撒かれているというのは容易に想像がつく。

今回の行動を起こした人々によれば、ゴルフは「最も特権的なレジャー」であり、確かに不公平だと主張する人がいてもおかしくはない。

 

でも、この奇行をした環境活動家たちはゴルファーではないと思う。

一度でもプレーしたことがあるならば、こんなひどいことはできないはずだ。

グリーンをこんな形で汚すなんて、ゴルファーとしては信じられないし許し難い。

話し合いで解決案を模索するなどできなかったのか。

 

しかし思い出したのは、2018年の相撲業界のニュース。

大相撲春巡業のあいさつをしていた市長が倒れ、女性の看護師が救助のために土俵に上がったところ「(女性は土俵から)おりなさい」とアナウンスが流れ、その対応が批判を呼んだ。

緊急で人命に関わることが最優先されるべき時に、しきたりだの文化だの歴史だのを持ち込むのは理解に苦しむ。 と、相撲にこれっぽちの知識もない私は思ったが。

 

フランスの環境活動家たちは、きっとゴルフ場に水を撒き続けることは「緊急で人命に関わること」だと、信念を持って抗議している。

 

だが掘り起こされた芝生と、セメントを流し込まれたグリーンカップの写真を見て、神聖な場所が汚されたと憤ってしまうのは私だけではないはずだ。

ただただ、残念でならない。

 

欧州の事情に詳しくないまま意見するのは無責任とは自覚しつつも、地球上でプレーする一ゴルファーとして、他人事ではないニュースである。

 

 

[ヒッティ]

1987年生まれ。ニュージーランド在住。幼少期からゴルフを始め、一時はプロを目指すも、今なおアマチュアとしてゴルフを愛し続けている。現在のハンデはゼロ以下。日本とニュージーランドで女子ミッドアマ チャンピオンのタイトルを獲るなど、珍道中を邁進中。

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