ゴルフは続くよどこまでも #23「モクレンの花」

9月に入り寒さがようやく落ち着いてきて、街なかに紫色の花が目につくようになった。木蓮(モクレン)だ。

木蓮を見慣れだした頃、今度は桜が咲きはじめた。

自宅からゴルフ場までの片道20分の一般道で、沿道に3本ほど咲いている。

季節は違えど、日本が恋しくなる瞬間だ。

 

振り返ってみれば、今年の冬(おおよそ6~8月)は例年より雨が多かったそうである。

ニュージーランドは排水工事がちゃんと行われているゴルフ場が少ない。

良くも悪くも「自然」で、地面や芝の状態は公園や牧草地とほぼ一緒というコースもままある。

(ある意味「あるがままにプレーせよ」というゴルフの精神を体現している)

 

すると何が起きるかというと、雨が降るとコース全体がびちゃびちゃになるのだ。

日本では頑張ってまわれる程度の雨でも、地面がどうしようもなくぬかるみ、グリーンにはすぐに水たまりができ、フェアウェイからのショットで返りしぶきを全身に浴びる。

泥まみれの牛になった気分である。

そしてゴルフ場にはお風呂がついていない

(寒いシャワールームはあるが、備え付けタオルはない)

 

そんな事情なので、多くのニュージーランド人は雨の日にゴルフをしない。

たまの晴れ間には、スコアよりもゴルフができてよかったとみんな笑顔である。

 

そんな寒く湿った冬が長かった分、最近のあたたかさには喜びもひとしお。

だが、春の訪れはやっかいな症状も連れてくる。

 

花粉症だ。

 

ゴルファーの天敵、あるいは自然の中でプレーする上で対峙せざるをえない宿敵。

鼻の奥の機能が壊れて、脳が正常にはたらかない。 ショットはクラブに振り回されるようになり、パッティングで下を向くと二つの鼻の穴から滝のように水がしたたり落ちる。

花は美しいが鼻がつらくて、なんとかならないものかと思う。

実にワガママな主張であることはわかっているのだが。

 

ところで、冒頭でふれた木蓮の花言葉は「自然への愛(love of nature)」や「忍耐(perseverance)」だそうである。

かつてこの花の意味を見出した先人からのメッセージに、一本取られた感がある。

 

ヒッティ

1987年生まれ。ニュージーランド在住。幼少期からゴルフを始め、一時はプロを目指すも、今なおアマチュアとしてゴルフを愛し続けている。最近のハンデは1.5。日本とニュージーランドで女子ミッドアマ チャンピオンのタイトルを獲るなど、珍道中を邁進中。

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